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財務三表の見方を初心者向けに解説|管理職が知っておきたい会計の基本

公開日:2026年08月06日 タグ:, ,

管理職になると、売上目標や予算の進捗、利益率、コストなど、さまざまな数字をもとに判断する場面が増えていきます。しかし、貸借対照表や損益計算書を見ても、「どこを確認すればよいのか分からない」「数字が並んでいるだけに見える」と感じる人も少なくありません。

会社の経営状態を把握するうえで基本となるのが、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つです。これらはまとめて「財務三表」と呼ばれ、会社の財産、利益、現金の流れをそれぞれ異なる角度から表しています。

管理職に求められるのは、経理担当者のように細かな仕訳を覚えることではありません。数字が何を意味しているのかを理解し、自部門の課題の把握や今後の判断に役立てることです。この記事では、財務三表の役割や基本的な見方を、会計初心者にも分かりやすく解説します。

この記事を届けたい人

・管理職になり、会議や報告で決算書を見る機会が増えた人
・会計や財務を学んだ経験がなく、数字に苦手意識がある管理職・管理職候補者
・売上や利益だけでなく、会社や担当事業の経営状態を把握できるようになりたい人

財務三表とは?管理職が知っておきたい理由

財務三表は会社の状態を表す3つの書類

財務三表とは、貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書の3つを指します。

書類 分かること
貸借対照表(B/S) 会社がどのような財産を持ち、その資金をどこから調達しているか
損益計算書(P/L) 一定期間にどれだけ売上を上げ、費用を使い、利益を残したか
キャッシュフロー計算書(C/F) 会社の現金が、どのような理由で増減したか

それぞれ役割は異なりますが、3つを組み合わせて見ることで、会社の経営状態をより立体的に把握できます。

 

財務三表から分かること

財務三表は、会社の健康診断のようなものです。

売上や利益が伸びていても、借入金が増え続けていたり、現金が不足していたりすれば、必ずしも安定した経営状態とはいえません。一方で、一時的に利益が減っていても、将来の成長に向けた設備投資が原因であれば、単純に悪い状態とは判断できません。

貸借対照表で会社の安全性、損益計算書で収益力、キャッシュフロー計算書で資金の動きを確認することで、数字の背景まで考えられるようになります。

 

管理職に会計知識が必要な理由

管理職は、経営方針を自部門の行動に落とし込む役割を担います。そのため、自部門の売上やコストが、会社全体の利益や資金にどのような影響を与えるのかを理解する必要があります。

たとえば、売上目標を達成していても、値引きや原価の上昇によって利益が減っていることがあります。また、コストを削減しすぎた結果、サービスの品質や将来の売上に悪影響が出る場合もあります。

数字を単に報告するのではなく、「なぜこの結果になったのか」「次に何を改善すべきか」を考えるために、財務三表の基礎知識が役立ちます。

 

貸借対照表で会社の財政状態を見る

貸借対照表の基本構造

貸借対照表は、英語の「Balance Sheet」を略して「B/S」とも呼ばれます。ある時点で、会社が保有する財産と、その財産を得るために調達した資金を表す書類です。

貸借対照表は、資産」「負債」「純資産の3つで構成されています。

資産には、現金、預金、売掛金、商品、建物、設備などが含まれます。負債は、買掛金や借入金など、将来返済する必要がある資金です。純資産は、株主からの出資や、会社がこれまでに蓄積してきた利益など、基本的に返済する必要がない資金を表します。

貸借対照表では、資産=負債+純資産という関係が成り立ちます。

 

流動と固定の違い

資産と負債は、さらに「流動」と「固定」に分かれます。

流動資産は、現金や売掛金など、原則として1年以内に現金化される資産です。固定資産には、建物、設備、土地など、長期間にわたって使用するものが含まれます。

流動負債は、買掛金や短期借入金など、原則として1年以内に支払う必要がある負債です。固定負債には、長期借入金など、返済までの期間が長いものが含まれます。

この区分を見ることで、会社が近い将来の支払いに対応できるか、借入金などの負債に頼りすぎていないかを確認できます。

 

管理職が確認したいポイント

管理職が貸借対照表を見る際は、資産の大きさだけでなく、その中身に注目することが大切です。

たとえば、売掛金が大きく増えている場合、売上は計上されていても、代金の回収が遅れている可能性があります。在庫が増えている場合は、商品が売れずに残っていることも考えられます。

また、負債が増えていないか、純資産が十分にあるかも重要です。資産が多く見えても、その多くを借入金でまかなっている場合は、返済負担が大きくなります。

貸借対照表を見るときは、「何を持っているか」だけでなく、「その資金をどのように集めたか」まで確認しましょう。

 

損益計算書で会社の収益力を見る

損益計算書の基本構造

損益計算書は、英語の「Profit and Loss Statement」を略して「P/L」とも呼ばれます。一定期間における売上、費用、利益を表す書類です。

損益計算書では、売上高からさまざまな費用を順番に差し引くことで、利益を計算します。

売上が大きくても、商品やサービスを提供するための原価や、人件費、広告費、事務所の賃料などが多ければ、最終的に残る利益は少なくなります。そのため、売上高だけを見て会社や事業の状態を判断することはできません。

 

利益の種類と違い

損益計算書には、複数の利益が記載されています。

売上高から売上原価を差し引いたものが「売上総利益」です。一般的には「粗利」とも呼ばれ、商品やサービスそのものがどれだけ利益を生んでいるかを表します。

売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたものが「営業利益」です。販売費及び一般管理費には、人件費、広告宣伝費、交通費、賃料などが含まれます。営業利益を見ることで、本業でどれだけ利益を上げているかが分かります。

さらに、受取利息や支払利息など、本業以外の収益や費用を加味したものが「経常利益」です。

 

管理職が確認したいポイント

管理職が損益計算書を見る際は、売上や利益の金額だけでなく、前年や予算と比較することが重要です。

売上が前年より増えていても、原価や販管費がそれ以上に増えていれば、営業利益は減少します。反対に、売上が横ばいでも、業務改善によってコストを抑えられれば、利益率が改善することがあります。

また、自部門の活動がどの数字に影響しているかを考えることも必要です。営業部門であれば売上高や値引き、商品部門であれば売上原価、管理部門であれば販管費との関係が深くなります。

数字の増減を見るだけでなく、その原因を業務と結びつけて考えることで、具体的な改善策を立てやすくなります。

 

キャッシュフロー計算書で現金の流れを見る

利益と現金は同じではない

損益計算書で利益が出ていても、会社に十分な現金があるとは限りません。

たとえば、商品を販売して売上を計上しても、代金が翌月以降に入金される場合、その時点では現金は増えていません。また、設備を購入したり、借入金を返済したりすれば、損益計算書上の利益が出ていても、現金は減少します。

会社は、利益があっても支払いに必要な現金がなければ、事業を続けることができません。そのため、利益だけでなく、実際の現金の動きを確認する必要があります。

 

3つのキャッシュフロー

キャッシュフロー計算書では、現金の動きを営業活動」「投資活動」「財務活動の3つに分けて表示します。

営業活動によるキャッシュフローは、商品やサービスの販売など、本業による現金の流れです。通常は、この金額が安定してプラスになっていることが望まれます。

投資活動によるキャッシュフローは、設備やシステムの購入、資産の売却などによる現金の動きを表します。成長に向けて積極的に投資している企業では、マイナスになることもあります。

財務活動によるキャッシュフローは、借入や返済、株式の発行など、資金調達や返済に関する現金の動きです。

 

フリー・キャッシュフローから分かること

フリー・キャッシュフローは、一般的に、営業活動によるキャッシュフローから、設備投資などに伴う支出を差し引いたものです。

フリー・キャッシュフローが十分にあれば、新規事業への投資、借入金の返済、設備の更新などに資金を活用できます。一方で、継続的にマイナスとなっている場合は、本業で得た現金だけでは投資をまかなえていない可能性があります。

管理職にとっても、売上を上げることだけでなく、代金を確実に回収することや、不要な支出を抑えることは重要です。自部門の活動が会社の現金の流れに与える影響まで意識することで、より経営に近い視点を持てるようになります。

 

まとめ|財務三表を経営判断に役立てよう

財務三表は、それぞれ異なる角度から会社の状態を表しています。

貸借対照表では、会社が保有する財産と、資金の調達方法を確認できます。損益計算書では、一定期間の売上、費用、利益を把握できます。キャッシュフロー計算書では、会社の現金がどのような理由で増減したかを確認できます。

1つの書類だけを見るのではなく、3つを組み合わせることで、会社の安全性、収益力、資金の状態を総合的に判断できます。

管理職に求められるのは、会計用語を暗記することではありません。数字の変化から課題を見つけ、業務の改善や意思決定につなげることです。

財務三表をはじめ、経営戦略やマーケティング、ロジカルシンキングなど、管理職に必要な経営知識を体系的に身につけたい方は、「ビジネスマネジメント力診断・対策講座」で、自分に不足している知識を確認しながら学んでみてはいかがでしょうか。

編集者情報

株式会社デジタル・ナレッジ
サービス推進事業部 事業部長 野原 成幸
わからないことはインターネットで検索していた時代から、AIに質問することでさらにスピーディーに解決できる時代になりました。多くの場合、解決して終わりだと思いますが、「これについてもっと知りたいな」「学んでみたいな」ということも少なからずあるのではないでしょうか。
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