SDGsとサステナビリティの違いとは？

SDGsとサステナビリティの違いを理解すれば、ビジネスシーンでの使い分けに迷わなくなります。まずは、それぞれの定義と関係性を整理していきましょう。

 

SDGsは「2030年までに達成すべき17の国際目標」

SDGsは、2015年の国連サミットで採択された国際的な行動計画。正式名称は「Sustainable Development Goals（持続可能な開発目標）」で、17の大目標と169のターゲット17のゴールとゴールを具体的に掘り下げた169のターゲットから構成されています。

SDGsには2030年までという明確な期限があり、国や企業、自治体、私たち一人ひとりが共通のゴールをめざしています。

 

サステナビリティは「持続可能性という考え方・理念」

サステナビリティは、将来世代にも豊かな地球を引き継ぐための考え方。日本語では「持続可能性」と訳され、環境・社会・経済のバランスを保ちながら発展していく概念を指します。

たとえば、サステナブルな企業は単に業績が良い会社を意味しません。環境を壊さない事業活動、消費者が長く支持したいと思える商品開発、従業員がずっと働きたい職場といった指標を満たす企業が、真の意味でサステナブルだといえます。

 

SDGsとサステナビリティの違いと関係性

SDGsとサステナビリティの違いは、「理念」と「実践方法」として捉えるとわかりやすくなります。

サステナビリティは「何をめざすべきか」という方向性で、SDGsは「どう実現するか」という行動指針となります。サステナビリティは、貧困やジェンダー格差といった社会課題も含めて、バランスの取れた社会づくりをめざす包括的な概念としても使われています。

 

SDGsやサステナビリティと混同しやすい関連用語

SDGsやサステナビリティを正しく理解するために、似た用語との違いを押さえておきましょう。ここでは混同しやすい4つの用語の意味と使い分けのポイントを解説します。

 

ESG｜投資家が企業を評価する3つの基準

ESGとは、Environment（環境）、Social（社会）、Governance（ガバナンス）の3領域を指す投資用語です。投資家がこれらの観点から企業を評価し、将来の成長性を判断する際に使われます。

SDGsやサステナビリティが「社会全体の目標や理念」であるのに対し、ESGは「投資家が企業を選ぶ際の判断基準」である点が異なります。

 

CSR｜企業の社会的責任・社会貢献活動

CSRは「Corporate Social Responsibility（企業の社会的責任）」の略で、企業が社会や環境と共存するために行う活動を指します。CSRに取り組むことで、企業イメージの向上につながり、投資家からも選ばれやすくなります。

SDGsやサステナビリティとの違いは、「企業として当然果たすべき責任」という位置づけである点です。

 

CSV｜経済価値と社会価値を同時に創出する経営戦略

CSVは「Creating Shared Value（共通価値の創造）」の略称で、事業活動を通じて社会課題を解決する経営手法です。

CSRが「責任を果たす」という守りの活動なのに対し、CSVは「社会課題の解決を事業の強みに変える」という攻めの経営戦略である点が特徴です。

SDGsを達成するうえで、企業にはCSRやCSVの使い分けが求められています。

 

エシカル｜人や環境に優しい消費や行動

エシカルとは「倫理的な」を意味する用語で、人や地球環境に配慮した行動を指します。最近では、消費者の購買行動における判断基準として広く使われるようになりました。

エシカルは、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に位置づけられており、日々の買い物や行動で実践できる具体的な方法を表します。

 

企業がSDGsやサステナビリティに取り組むメリットとは？

企業のSDGsやサステナビリティの取り組みによって得られることは、単なる社会貢献にとどまりません。ここでは、実務に直結する3つのメリットを紹介します。

 

企業価値やブランドイメージを高められる

まず挙げられるのが、企業価値やブランドイメージを高められる点です。消費者のSDGsへの関心が高まる現代では、企業の姿勢が購買行動を左右するようになりました。

取り組みによって信頼が高まれば、消費者からの支持を得やすくなり、競合との差別化や優秀な人材の採用にもつながります。

 

新しいビジネスチャンスを生み出せる

新しいビジネスチャンスの創出も、大きなメリットのひとつ。SDGsを軸に事業を見直す過程で、異業種の企業や研究機関といった新たなパートナーと出会う可能性があるからです。

SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」にあるように、組織を超えた連携が事業の成長や企業価値の向上につながります。

 

長期的な事業継続を実現できる

SDGsやサステナビリティへの取り組みは、長期的な事業継続の実現につながります。今後は企業に対する社会的責任の要求がより厳しくなり、取り組んでいない企業は取引先や顧客から選ばれにくくなるからです。

SDGsに積極的な企業とだけ取引する方針を掲げる企業も増えており、取り組みは持続可能な経営基盤を築くための必須の投資といえます。

 

SDGsやサステナビリティに取り組む企業

SDGsやサステナビリティを経営に組み込んでいる企業の事例を知ることで、具体的な取り組みのイメージがつかめます。ここでは、世界的な企業2社の実践例を紹介します。

 

1. ユニリーバ｜環境に配慮した製品づくりで売上向上

日用品メーカーのユニリーバは、環境負荷を減らしながらビジネスを成長させる経営方針を掲げています。SDGsが登場する前の2010年時点で、独自の経営計画「サステナブル・リビング・プラン」を導入していました。

ユニリーバでは再生可能エネルギーへの完全移行や使用済み容器のリサイクル推進など、多角的な施策を展開し、環境と社会への配慮を事業の核に据えています。

参考：ユニリーバ　コーポレートサイト｜サスティナビリティ

 

2. パタゴニア｜環境保護を最優先する経営方針

アウトドアブランドのパタゴニアでは、「地球を救うためにビジネスを営む」がミッション。2022年には、創業者がすべての株式を環境保護団体に譲渡し、利益をすべて地球のために使う決断をしました。

利益を追求する株主ではなく、地球そのものを最優先する経営判断は、サステナビリティの理念を体現した先進的な取り組みです。

参考：パタゴニア　コーポレートサイト

 

SDGsとサステナビリティの違いを学んで自信を持って説明できるようになろう

本記事では、SDGsとサステナビリティの違い、混同しやすい関連用語、企業の取り組み事例を紹介しました。サステナビリティは持続可能な社会をめざす理念であり、SDGsはその理念を2030年までに実現するための具体的な目標です。

両者の違いを理解できれば、ビジネスシーンでも自信を持って使い分けられます。さらにSDGsを体系的に学びたい方は、SDGsビジネス検定の受講を検討してみてはいかがでしょうか。実践的な知識を身につけることで、職場での提案力や説明力がさらに高まります。

 

 

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