広告の費用対効果を最大化!成果を生むLP・Webサイト設計の基本と改善ポイント
【連載第6回|初心者向けデジタルマーケティング入門】
前回は、SEO、広告、SNSといった「集客チャネル」を駆使して、ターゲット顧客を自社サイトへ連れてくる方法を解説しました。しかし、ここでデジタルマーケティングにおける最も残酷な現実をお伝えしなければなりません。
あなたが苦労して広告費をかけ、SNSで発信し、ようやく連れてきたお客様の98%以上は、何も買わずに帰っていくということです。
一般的なWebサイトのコンバージョン率(購入や問い合わせに至る確率(CVR))は、わずか1〜2%程度と言われています。もしあなたのサイトが「分かりにくい」「使いにくい」「魅力が伝わらない」状態であれば、この数字はさらに下がります。
これは、底に穴の空いたバケツに必死で水を注いでいるようなものです。いくら集客<蛇口>を強化しても、受け皿<バケツ>が整っていなければ、水<売上>は溜まりません。
今回は、集めたアクセスを無駄にせず、確実に成果に変えるための「受け皿の設計図」についてお話しします。
ウェブ解析士マスター、チーフSNSマネージャー
「キャリア公式サイト」「広告サイト」など、アライアンスを中心とした50以上の月額公式サイト、100万人以上が利用するサイト、100以上のコンテンツの立ち上げ、集客化に成功。1日の売り上げが1億以上のソーシャルゲーム、カジュアルゲームの制作に携わるなど、さまざまな業態・業種にデジタル・マーケティングを取り入れ、企業に追い風を起こし続けている。
・施策の効果に不安のあるデジタルマーケティング担当者
・デジタルマーケティングで効果をあげたいサービス担当者
目次
「Webサイト」と「LP」はどう違う?役割の明確化

デジタルマーケティング初心者が最初に陥る間違いが、Web広告のリンク先を「会社のトップページ」に設定してしまうことです。なぜこれがいけないのでしょうか?
それを理解するために、「Webサイト」と「ランディングページ(LP)」の役割の違いを整理しましょう。
| Webサイト | ランディングページ(LP) | |
| 役割 | 企業の顔 情報を網羅的に掲載し、信頼を獲得する |
特定の商品・サービスの購入や申込(コンバージョン)を獲得することに特化する |
| 構造 | 複数のページで構成 | 原則として1ページ完結する縦型のレイアウト 他ページへのリンク(逃げ道)を極力排除 |
| 目的 | メニューやリンクを使ってユーザーに自由に回遊してもらう | 情報を順序立てて伝える |
Webサイト(公式サイト・サービスサイト)
Webサイトはイメージとしては総合デパートです。お客様は「紳士服売り場はどこかな?」と自分で探さなければなりません。目的が明確でないお客様には親切ですが、「この商品が欲しい」というお客様には、売り場を探す手間がストレスになります。
ランディングページ(LP)
一方、ランディングページはいわば凄腕の営業マン。お客様を個室に案内し、「お客様の悩みはこれですね?」「解決策はこれです」「今ならこんな特典があります」と、マンツーマンでクロージングまで導きます。
広告やSNSで「この商品が気になる!」と興味を持った(=目的がある)お客様を、デパートの入口(トップページ)に放置してはいけません。営業マン<LP>が待ち構える部屋に直接案内し、熱が冷めないうちに接客をする。これがデジタルマーケティングの鉄則です。
事例:ある海外の大手eコマースプラットフォームのLP
ある有名なEC構築ツールのLPは、公式サイト全体ではなく「無料トライアル開始」に特化した縦長ページです。メニューが散在せず、すぐに「無料でショップを始める」ボタンに導く設計になっています。これにより、ユーザーが目的を迷わず行動に移せ、コンバージョン率が大幅に向上したと言われています。
売れるLPの鉄板構成~営業マンのトークを再現する

では、成果が出るLPは、どのような構成になっているのでしょうか。デザインの美しさも大切ですが、それ以上に重要なのが「話の順番(構成)」です。基本的には、以下の4つのステップで構成します。
①ファーストビュー(FV)/3秒で「自分事」にさせる
ファーストビュー(FV)とは、LPを開いた瞬間、モニターに表示される最初の画面エリアです。ユーザーは、ページを開いてから3秒以内に、そのページを読むか閉じるかを直感的に判断します。ここで「自分には関係ない」「面白くなさそう」と思われたら、その下の文章がどんなに素晴らしくても読まれません。
ポイント:idea::広告のキャッチコピーと、FVのヘッドラインを一致させます。「腰痛対策」の広告をクリックしたのに、FVに「総合整体院」としか書いていなければ、ユーザーは「間違えたかな?」と思って離脱します。ここに「長年の腰痛、諦めていませんか?」と書くことで、ユーザーを繋ぎ止めます。
事例:ある世界最大級の動画配信サービスのFV
ある有名動画配信サービスのLPは、FVで「映画もドラマも見放題。いつでもどこでも。」というシンプルなヘッドラインと、1行のメール入力フォームだけを表示。背景に魅力的な映像を置き、3秒以内に「これが欲しい!」と感じさせる設計です。この結果、業界トップクラスの登録率を維持しています。
初心者の方は、FVを広告の延長線上に設計するイメージをしてください。
②ボディ(共感・解決策・ベネフィット)/欲しい気持ちを高める
FVを突破したら、次は商品の魅力を伝えますが、いきなりスペック(機能)を語ってはいけません。
共感
「こんなお悩みありませんか?」と、ペルソナ(第2回で設定したターゲット像)の悩みを代弁し、「私のことを分かってくれている」という共感を生みます。
解決策とベネフィット
その悩みを解決できる理由(商品の特徴)と、それによって得られる素敵な未来(ベネフィット)を提示します。「この掃除機は吸引力が〇〇paです」ではなく、「一度かけるだけで、アレルギーの原因となるホコリが消え、赤ちゃんも安心してハイハイできます」と伝えます。
事例:ある人気の食事キット宅配サービスのボディ
忙しい主婦層をターゲットにしたある食事宅配サービスのLPは、ボディで「毎日の夕食準備が面倒で、献立考えるのも疲れる…」という共感から入り、「新鮮食材を届けてレシピ付きで15分で完成」とベネフィットを強調。魅力的な料理写真を交え、「楽になりたい」という気持ちを強く引き出しています。これにより、サブスクリプションの申込数が大きく伸びました。
写真やイラストを活用すると、ボディが視覚的に面白くなります。
③クロージング(信頼・オファー)/不安を消し、背中を押す
欲しい気持ちが高まっても、ユーザーには「本当に効果あるの?」「騙されない?」という不安が残ります。
信頼(権威性・社会的証明
「利用者数No.1」「〇〇医師推奨」「お客様の口コミ」などの客観的な証拠を提示し、信頼を勝ち取ります。
オファー(特典・限定性)
最後に今すぐ買う理由を作ります。「初回限定〇〇円」「〇月〇日までキャンペーン中」といったオファーで、先送りの心理を断ち切ります。
事例:あるビジネス向けプロフェッショナルSNSのクロージング
あるビジネスSNSのプレミアム版LPは、クロージングで「メッセージの返信率が2.6倍になる」という統計データと実際のユーザー写真を社会証明として提示。さらに「1ヶ月無料トライアル」のオファーで不安を解消。これが信頼を築き、アップグレード率を高めています。
データや口コミを入れると、読者が「これなら大丈夫」と感じます。
④CTA(Call To Action)/行動を指示する
CTAとは「お申し込みはこちら」「資料請求する」といったボタンです。ボタンは大きく、目立つ色にし、何が起こるか(クリックしたらどうなるか)を明確に記述します。
世界的なオンラインコース提供サービスのLPは、CTAを「今すぐ無料で始める」ボタンにし、短い箇点リストの後に配置。シンプルさが功を奏し、非常に高いクリック率を記録しています。
CTAは「行動の最後の一押し」として、目立つデザインにこだわりましょう。
最後の難関「入力フォーム」のストレスを消す(EFO)

LPの内容に納得し、「買おう!」と決心してボタンを押した。しかし、遷移先の入力フォームで項目の多さにうんざりして、画面を閉じてしまった経験はありませんか?これを「カゴ落ち」と呼びます。
せっかくの決意を無駄にしないために、入力フォーム最適化(EFO:Entry Form Optimization)を行う必要があります。
項目を減らす
「必須」ではない項目はすべて削除します。「ふりがな」や「性別」は本当に今すぐ必要でしょうか?
入力を補助する
郵便番号を入力したら住所が自動で入る機能や、全角・半角の自動変換機能を導入します。
エラーを親切に
全て入力して送信ボタンを押した後に「エラーがあります」と返すのは最悪です。入力した瞬間に「※全角で入力してください」とリアルタイムでアラートを出しましょう。
逃げ道を塞ぐ
フォームの画面には、他ページへのリンク(メニューやバナー)を置かず、ユーザーが入力に集中できる環境を作ります。
事例:あるビジネスチャットツールのフォーム
有名なビジネスチャットツールの登録フォームは、必須項目を最小限に抑え、リアルタイムでエラーチェックを表示。住所入力も郵便番号から自動補完するなど、カゴ落ちを大幅に減らしています。
こうした工夫で、離脱率を20〜30%低減できた事例が多く報告されています。
作ってからが本番/LPO(ランディングページ最適化)

LPは公開したら完成ではありません。公開してからがスタートです。最初に作ったLPが100点の成果を出すことは稀です。実際のユーザーの反応を見ながら、改善を繰り返すプロセスをLPO(Landing Page Optimization)と呼びます。
◆ヒートマップで「熟読」と「離脱」を見る
Google アナリティクスのような数値データだけでなく、ヒートマップツールを使うことをおすすめします。これは、ユーザーがページのどこをよく見ているか(赤くなる)、どこで読むのを止めたか(青くなる/消える)を色で可視化するツールです。もし、共感のパートで多くの人が離脱しているなら、悩みの想定がズレているかもしれません。権威性のパートが読み飛ばされているなら、証拠としてのインパクトが弱いのかもしれません。
◆A/Bテストで正解を見つける
「キャッチコピーはA案(機能訴求)とB案(感情訴求)、どっちがいい?」と迷ったら、両方試しましょう。アクセスを半分ずつ振り分けて、どちらの成約率が高いかをテストします。デジタルマーケティングの強みは、このようにデータで白黒つけられる点にあります。
LP最適化ツールを提供しているある会社は、自社LPでA/Bテストを繰り返し、ヘッドラインの表現を微調整しただけでコンバージョン率を40%以上向上させた事例があります。
ヒートマップで離脱箇所を特定し、改善を繰り返すアプローチが鍵です。初心者でも無料ツール(Google アナリティクス4のA/Bテスト機能やMicrosoft Clarityなど)で始められます。
まとめ:ザルの穴を塞げば、資産は積み上がる
今回は、集客したお客様を受け入れる「LPとWebサイトの設計」について解説しました。
多くの企業が、売上を2倍にするために集客(広告費)を2倍にしようとします。しかし、受け皿の改善(LPO/EFO)によってコンバージョン率(CVR)を1%から2%に改善できれば、広告費を1円も増やさずに売上を2倍にすることができます。これこそが、受け皿を整えることの最大の価値です。
さて、LPを公開し、広告を回し始めると、様々な数字が発生します。PV、UU、CTR、CVR、CPA…。これらの数字を正しく計測し、意味を理解できなければ、改善のハンドルを切ることはできません。
次回、第5回は「計測の基礎…タグ・コンバージョン・UTM」です。目に見えないユーザーの動きを可視化し、デジタルマーケティングをコントロール可能な状態にするための技術について解説します。
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編集者情報
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株式会社デジタル・ナレッジ サービス推進事業部 事業部長 野原 成幸 |
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