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SDGsがよくわかる「5つのP」とは?17のゴールを徹底解説

公開日:2022年11月17日 タグ:, ,

「17もあると覚えられない」
「多すぎて全体像がつかめない」

という方もいらっしゃるかもしれませんが、じつは

17のゴールを5つのグループに分けることでSDGsの目指す世界がイメージしやすくなります。

このページでは、「5つのP」の詳細と、そこに含まれる17のゴールひとつひとつについて、わかりやすく解説していきたいと思います。

この記事を届けたい人
  • 学校の課題としてSDGsがテーマになったが、調べても難しくて分からない学生の方
  • SDGsについてざっくり知りたいと思っている方
  • 17という数字が多過ぎると思っている方
この記事の取材対象

一般社団法人SDGs活動支援センター(SACS)
代表理事 代表理事 小島政行さま
https://sdgs.or.jp/

SDGs「5つのP」って何? 

SDGsの17の目標を5つのキーワードでわかりやすく分類したものです。

5つのキーワードとは、

  • People(人間)
  • Prosperity(豊かさ・繁栄)
  • Planet(地球)
  • Peace(平和)
  • Partnership(パートナーシップ)

 

のこと。頭文字をとって「5つのP」と呼ばれています。

 

「17の目標」を5つにカテゴライズすることで、SDGsの基本となる考え方が理解しやすくなります。

それぞれのグループにどんなゴールが含まれているのでしょうか?

ひとつひとつのゴールの詳細についても、順番に見ていきましょう!

 

①People(人間)

貧しさを解決し、健康で人間らしい生活を

1つめのPは『People』、すなわち人間です。

すべての人が人間としての尊厳を持ち、平等で健康的な環境のもと、それぞれが持つ能力を十分に発揮できる世界の実現が目指されています。貧困や飢餓の解決といった人間の基本的人権にかかわる、とても大切なキーワードです。

『People(人間)』には、ゴール1からゴール6までが該当します。

 

ゴール1 「貧困をなくそう」

SDGsの最大の目標、それは「世界中のあらゆる形の貧困を終わらせること」です。

そのためSDGsでは17のゴールのいちばん最初に「貧困をなくそう」が謳われています。生きていくために必要な食べ物すら手に入らない“極度の貧困”、これをまずなくすこと。そして食料だけでなく、仕事や住むところを見つけたり、病院に行ったり、自分の意見を自由に表現できるようにすることも、この目標には含まれています。先進国でも約3,000万人の子どもが貧困状態と言われていますが、じつは日本でも子どもの約7人に1人が貧困状態(2018年調査)。決して他人事ではない、重要かつ緊急の課題なのです。

 

 💡 このゴールを読み解くポイント
  • 極度の貧困は全世界の9%強で、ほぼ10人に1人。
  • 先進国での課題は相対的貧困。

 

ゴール2 「飢餓をゼロに」

飢餓とは食べものがなくて栄養が足りない状態を指します。今でも地球上の8億人以上もの人が食べるものがない生活を送っていますが、これからも世界の人口は増えつづけます。すべての人が1年を通して安全で栄養のある食料を得られるようにするためには何が必要なのでしょうか?それは、紛争や干ばつ、気候変動などによる農作物への被害を防ぎ、持続可能な農業システムを推進するなど根本的な改革です。

途方もない話だと思われるかもしれませんが、もっと身近にできる取り組みもあります。たとえば、日本の給食における食品ロスは1年で5万トンあまり。なんと25mプール170杯分です。食料の廃棄はまわりまわって世界の食料不足につながっています。私たち一人ひとりの心がけで助かる命があります。

 💡 このゴールを読み解くポイント
  • 地球上で8億人が飢餓状態。
  • 栄養不足、栄養不良も飢餓のうち。
  • フードロスをなくそう。余った食材は子ども食堂などへ。

 

ゴール3 「すべての人に健康と福祉を」

地球上にはお金がなくて病院に行けなかったり、そもそも安全な病院が近くにないために病気になっても治療を受けられないという人が大勢います。予防接種やワクチンといった基本的な医療サービスを受けられずに亡くなってしまう命もたくさんあります。5才の誕生日をむかえることなく亡くなる子どもは世界で年間約560万人。5秒に1人の子どもが命を落としていることになります。とくに発展途上国でこうした問題が深刻です。

ゴール3では、2030 年までに世界の妊産婦の死亡率を減らすこと、新生児および5歳未満の予防可能な死亡を根絶すること、エイズ・結核・マラリアなどの伝染病、感染症の根絶などが目指されています。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • 5秒に1人幼児が亡くなっている。
  • まずは、エイズやマラリアなどの感染症の撲滅が重要。
  • 開発途上国への医療、医薬品、栄養食の支援が必要。まずはワクチン募金から始めてみよう。

 

ゴール4 「質の高い教育をみんなに」

15歳以上で読み書きができない人は世界で7億人以上。そのうち3人に2人が女性と言われています。原因は紛争、貧困、女性や少数民族への差別など。学校や先生が足りず教育を行うことができない地域も少なくありません。ここでいう教育とは、生涯学習も含めた、より大きく普遍的な教育を指します。性別・宗教・年齢にかかわらず、だれもが平等に、質の高い教育を受けられるようにすることが目標です。質の高い教育はSDGs最大の目標である“貧困の連鎖”を断ち切ることにつながる、とても大切なテーマです。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • 15歳以上で読み書きができない人は7億5,000万人。世界の6人に1人。
  • その大多数(2/3以上)は、女性、女児。
  • 学校建設の資金援助。また人権や男女の平等の必要性、平和や暴力を使わないことの重要性を学び、伝えていこう。

 

ゴール5 「ジェンダー平等を実現しよう」

女性に対する暴力、少女に強いられる児童婚など、世界中に多く残る女性差別問題。女性だけでなくLGBTQ+など、性別を理由にした差別もたくさんあります。日本は関係ない?いいえ、日本のジェンダーギャップ指数は先進国で最低レベル(2021年は156カ国中120位)。ほかの国に比べて国会議員や企業の管理職に女性が少ないことが指摘されています。これは女性だけの問題ではありません。もし男女格差が完全に解消されれば世界経済は26%拡大するという研究結果もあります。ジェンダー平等は持続可能な地球の発展にとって必要不可欠なのです。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • 日本のジェンダーギャップは、156国中120位。
  • 昔からの伝統や慣習にとらわれることなく、だれもが同じように、性に関することや子どもを産むことに関する健康と権利が守られなくてはならない。
  • 家庭内での家事の分担から見直そう。

 

ゴール6 「安全な水とトイレを世界中に」

きれいな飲み水を利用できない人は世界で約22億人、じつに3人に1人です。トイレがなく、道ばたや草むらで用を足す人も6億7300万人います。そのせいで汚れた水を飲み、お腹を壊して亡くなる子供が世界にはたくさんいるのです。すべての人が安全な水とトイレを得られるようにすることが目標です。今後、人口増加や気候変動でますます水不足が悪化すると言われています。安全な水をどう確保するかは、まさに地球全体の課題なのです。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • きれいな飲み水を利用できない人は世界の22億人。
  • きれいなトイレが使えない人は6億人以上。
  • 水資源を提供する山や森林、湿地、河川などの生態系を保護・回復する。水が限りある資源をいうことを知ろう。

 

栄養のある食べものをしっかり食べる、きれいな水を飲む、衛生的な環境で健康的に暮らす。

1つめのP、『People』は誰もが人間らしく生きていくために必要な内容ばかりだね!

 

②Prosperity(豊かさ・繁栄)

経済的にも精神的も豊かで、どこにいても安心して暮らせる世界

2つめのPは『Prosperity』、豊かさや繁栄です。

地球上のどこにいても、安心して心も体も豊かに暮らせること。そのためには国と国はもちろん,ひとつの国や地域の中での格差を減らさなくてはなりません。世界がずっと経済を成長させていくのと同時に、豊かな自然環境を壊すことなく、技術的な進歩がつづく世界が必要です。自然と調和した経済や社会、技術の進展、それがこの2つめのキーワードです。

「Prosperity」には、ゴール7からゴール11までが該当しています。

 

ゴール7 「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」

私たちは毎日当たり前に電気を使っていますが、世界には電気が使えない地域がたくさんあります。そうした地域では今も薪ストーブ、石炭、動物の排泄物で調理・暖房が行われています。石炭・石油・天然ガスは二酸化炭素を排出するため持続可能なエネルギーとはいえません。また、これらによる発電は地球温暖化などの気候変動を引き起こします。

一方、風力・太陽光などの再生可能エネルギーの供給率は世界全体の15%。2030年までに世界における再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させることが目標です。また、日本のエネルギー自給率は11.8%(2018年)。自給率を上げる取り組みが急がれます。再生可能な自然エネルギーをできるだけ活用することも、その方法のひとつです。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • 世界で近代的な電気利用ができない人は13億人。
  • エネルギーは気候変動の最大の原因となっており、全世界の温室効果ガスの60%を占める。
  • 使わないコンセントは抜いたり、主電源を切ることから始めよう。再生可能エネルギーによる電力に切り替えソーラーパネルの設置を検討。

 

ゴール8 「働きがいも経済成長も」

世界には、わずかな報酬で強制労働させられる大人や、学校に通うことなく働かされる子どもなど、働く環境に問題をかかえている人がたくさんいます。たとえば、児童労働させられている5歳から17歳までの子どもは1億6000万人。現代の奴隷のような状態におかれている人も少なくありません。日本でも長時間労働、ワーキングプアなど数々の問題があります。このように労働力をゆがめている1つの要因は大量生産・大量消費にあると指摘されています。各国の状況に応じて一人当たり経済成長率を持続させること、ディーセントワーク(働きがいのある仕事)推進のための雇用創出が目指されています。日本の働き方改革関連法にある「同一労働同一賃金」の達成もSDGsのターゲットです。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • 児童労働されられている子ども(5歳~17歳)は世界に1億6000万人。その半数以上が危険で有害な仕事を強いられている。
  • 若者や障碍者を含むすべての人たちが人間らしい仕事につき、同一労働同一賃金であるべき。

 

ゴール9 「産業と技術革新基盤をつくろう」

インターネットを利用できない人は世界に40億人、そのうちの90%は開発途上地域に暮らしています。水道、ガス、電気、安全な道路、インターネットこれらは人々が生活したり働くうえで必要なインフラですが、世界にはこうした社会的な施設や設備が整っていない地域がたくさんあります。持続可能な開発のためにはインフラ整備と技術革新が必要不可欠。先進国でのさらなるイノベーション、バリューチェーンの見直しで持続可能な産業化が望まれています。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • インターネットを使えていない人は世界で40億人。
  • 途上国地域では26億人が安定的な電力の供給がなく、アフリカ諸国などの低所得国の多い地では、インフラの未整備により生産性が損なわれている。
  • 普段使用しているインフラがどのように供給されているのかを知り、持続可能なテクノロジーを見極めよう。

 

ゴール10 「人や国の不平等をなくそう」

人種差別、経済格差、ジェンダー格差、国家間格差――ゴール10では世界にはびこるありとあらゆる不平等に関する問題が取り上げられています。たとえば、現在、世界の富のほぼ半分を人口のわずか1%が所有しています。この割合はさらに増加傾向にあり、富と所得の格差はかつてないほど拡大しています。性別や年齢、障害、人種、民族などを理由とする差別も、こうした所得格差の是正を進める妨げとなっています。不平等の拡大は、まともな生活を送るために必要な人間の能力を損なうと同時に政治的および社会的緊張を高め、場合によっては内乱や地域紛争を引き起こす可能性があります。

2030年までに年齢、性別、障がい、人種、民族、出自、宗教、経済的地位、その他の状況にかかわりなく、すべての人々の能力強化や社会的、経済的及び政治的な包含を促進することが目指されています。また、世界の富をうまく分配する仕組みも必要です。開発途上国の参加と発言力の拡大により正当な国際経済・金融制度を実現することも目指されています。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • 世界の富の半分を1%の富裕層が持っている。
  • 格差は紛争のもとになりうる。
  • 税制、賃金、社会保障などにおいて平等な政策を掲げる政治家を支援しよう。難民を支援し、ダイバーシティ(多様性)を尊重。

 

ゴール11 「住み続けられるまちづくりを」

世界人口の約50%が都市部に居住しています。都市部への人口集中は、住宅不足、老朽化した建物による危険、エネルギー消費、環境汚染など数々の問題を引き起こしています。たとえば環境破壊に深刻な影響を及ぼしている炭素排出の75%は都市部からです。また、ごみ収集サービスを利用できていない人は世界に20億人。住環境の改善は喫緊の課題です。ゴール11だけは具体的空間をイメージしたもので都市SDGsとよばれています。世界の文化遺産・世界遺産を保護・保全することもターゲットに含まれます。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • 世界人口の50%が都市部に居住。炭素排出の75%は都市部から排出される。
  • 都市部以外は過疎化、スラム化していく。
  • 地域清掃活動に参加してみよう。高齢者や障害者などすべての人が使いやすい街づくりを考えてみよう。

 

ただ生きるだけではなく、誰もが“心も体も幸せに暮らせる”仕組みを作ろうとしているんだね。そのためには経済的な発展だけではダメ。バランスが大切なんだね。

 

③Plant(地球)

自然と共存して大切な地球を守りつづける

3つめのPは『Planet』、私たちの住む地球です。

限りある資源、失われる森や海、絶滅の危機にある動植物、自然災害を引き起こす地球の温暖化や気候変動。この先も地球に住み続けるためには、こうしたさまざまな問題に今すぐ、世界全体で取り組まなくてはなりません。大量生産・大量消費の社会から脱却して、将来にわたって自然から資源や食糧などの恵みを受けることができる世界を目指しています。

「Planet」には、ゴール12からゴール15までが該当しています。

 

ゴール12 「つくる責任つかう責任」

流行の洋服を安く手に入れられるファストファッションの普及で衣類の大量生産が当たり前となった反面、製造過程では大量の水が消費され、CO2(二酸化炭素)が大量に排出されています。大量に作られた衣類はまた、早いサイクルで大量に廃棄され、焼却や埋め立て、海洋汚染といった環境問題を引き起こしています。繊維産業は農業につづく第二の水質汚染源です。

大量の食料廃棄も大きな問題です。世界では毎年作られる食料の3分の1(約13億トン)が捨てられています。食料廃棄は食料不足を引き起こし、世界の飢餓を生み出しています。2030年までに1人当たりの食料廃棄を半分に減らすこと、ものをつくる時に排出される有害物質が自然をよごさないように管理することなどが掲げられています。リサイクルを通して廃棄物をへらすことも大切な取り組みです。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • 食料の1/3が捨てられている。
  • ファストファッションによる大量廃棄、焼却、埋め立てなどが環境問題を引き起こしている。化学物質による汚染が健康を害している。
  • 使い捨て前提の「直線型経済」から、資源の有効利用をめざす「循環経済」へ。使い捨てではなく、繰り返し使える製品を選ぼう。

 

ゴール13 「気候変動に具体的な対策を」

なぜ、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」が必要なのでしょうか?

それは、地球温暖化による気候変動が人類存続にかかわる深刻なレベルで進行しているからです。私たち人間が日々排出する二酸化炭素等が地球の上空を覆い“温室効果ガス”となることで気温が上がり続けています。世界の国々はこれ以上気温が上がらないよう、一体となって気候変動に取り組むことを約束しました。それが2015年の「パリ協定」です。パリ協定では、「世界的な平均気温上昇を産業革命前(1880年)に比べて2℃以下、できれば1.5℃以下に抑えよう」と決められました。

この温度を超えてしまうとどうなるのでしょうか?目標とされる気温上昇2℃は人間がなんとか自然と共存して耐えられる限界レベルといわれ、極めて危険な状態です。すでに熱波による猛暑、集中豪雨、洪水、大型台風、海水位の上昇など、世界中で気候変動の影響が顕在化していますが、今後さらに温暖化が進むと地球上のすべての動植物が命の危険にさらされます。

1880年から2012年の間に地球の平均気温は0.85℃上がったといわれています。パリ協定で定められた目標2℃ラインまであと「1.15℃」、努力目標1.5℃ラインまであと「0.65℃」しかありません。気候変動やその影響を減らすための具体的な対策を考え、今すぐ行動することが求められています。日本は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指しています。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • パリ協定の目指す1.5℃以内まで0.5℃しかない。
  • 海水面の上昇により都市が浸水する。
  • ガソリン車から電気自動車へ。交通機関を使おう。

 

ゴール14 「海の豊かさを守ろう」

人間が廃棄するごみや有害物質が海の深刻な汚染を引き起こしています。代表的なものがプラスチック。ポイ捨てされたプラスチックごみは毎年大量に海に流れ込み、2050年には魚の量を上回るという衝撃的な予測も。海の生き物が餌とまちがってプラスチックを食べ死んでしまったり、小さく砕けた「マイクロプラスチック」を摂取した魚が食物連鎖を通じて有害化学物質を体内にため込むことで、それを食べる人間への影響も懸念されています。

海洋の酸性化や過剰漁獲も深刻な問題です。世界人口が増え、漁業技術も進歩したことで、違法漁業や魚の獲りすぎが問題となっており、日本人におなじみのマグロやウナギも絶滅の危機にあります。海の自然や資源を守りながら獲られた水産物であることを示す「MSC認証マーク」、通称「海のエコラベル」のついた魚を買うことも海を守ることにつながります。このようにゴール14は、海洋資源を保全し持続的な開発を実現するための課題を提起しています。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • 年間800万トン~1,200万トンのプラスチックが海洋へ流れ込んでいる。
  • 小さく砕けたMP(マイクロプラスチック)に付着した有害物質。それを取り込んだ魚を食べる人間への影響が懸念されている。
  • MSC認証マークの魚を選んでみよう。絶滅危惧種を食べるのを控えよう。

 

ゴール15 「陸の豊かさを守ろう」

陸地の3分の1が豊かな森林でおおわれている地球。ですが、その森林が毎年1,300万ヘクタールも消失していることをご存じですか? 不法伐採や環境破壊によってすすむ森林破壊は、森林に依存して生計をたてているおよそ16億人の人たちの生活を脅かすとともに、生物多様性のバランスまで破壊しはじめています。森林には陸生種の動植物と昆虫の80%以上が生息していますが、森林がどんどん減ることでそこに生息する動植物や昆虫が絶滅の危機にさらされているのです。

この絶滅危惧種が問題になっているのは、そのスピードです。はるか昔、恐竜がまだ生きていた時代には1種の生物が絶滅するには1000年もの年月が必要でした。ところが、1975年からの25年の間に平均4万種、じつに13分毎に1種の生きものが絶滅したといわれています。将来的には現在の10倍もの速さで絶滅が進むという予測もあり、絶滅危惧種の保護・保全は緊急の課題です。

現在、地球上には確認されているだけでも175万種の生き物がいるとされていますが、そのうち絶滅の恐れがある野生生物はレッドリストとよばれ、国内でも環境省が2020年に3,732種のレッドリストを公表しています。このようにゴール15では、森林を持続可能なレベルまで管理すること、砂漠化を防止することで生物多様性を守り、陸のめぐみを次世代に受け継ぐことが目指されています。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • 地球上に存在する175万種類の生き物のうちおよそ2万6000種類が絶滅の危機。
  • 大豆、パーム油は、森林破壊の原因のひとつ。
  • 持続可能な森林管理がなされた木材にのみ与えられる「FSC認証」。

 

地球から資源や食料の恵みを受けて生きている人間。その人間が傲慢になったらいけないよね……。これからも地球で暮らしつづけるために、人間はどうあるべきか。しっかりと考え行動していきたいね!

 

④Peace(平和)

争いのない平和を知ることから実現しよう!

4つめのPは『Peace』、平和です。

世界平和、それはすべての人々の願いです。しかしながら、今も地球上のどこかで戦争や紛争、暴力、迫害などに苦しむ人たちがいます。貧困や飢餓、人権侵害、環境破壊などを引き起こし、あらゆるゴールの達成を阻む紛争を無くし、平和で公正な世界を実現することを目指しています。

「Peace」には、ゴール16が該当しています。

 

ゴール16 「平和と公正をすべての人に」

戦後、日本を含む国々で戦争のない平和的な暮らしが実現されましたが、その一方で、依然として暴力を伴う紛争にさらされている地域があります。たとえば、紛争地域に住んでいる子どもたちは4億2600万人(2019年)。開発途上国に生まれた子供の約50%は出生登録されていません。

そうした地域では司法へのアクセスがなく、基本的な人権も保障されていないのが実情です。こうした過酷な状況を解決していくために掲げられたのがこの目標です。

あらゆる場所においてすべての形態の暴力、暴力による死亡率を大幅に減少させること。そのためには、すべての人々に司法へのアクセスを実現すること、違法な資金・武器の取引の減少させること、透明性が高く効率的な行政機関を作り上げることが求められています。

💡 このゴールを読み解くポイント

  • PEACE(平和)、JUSTICE(正義)、STONG INSTITUTION(強靭な制度)がキーワード。
  • 政治的・宗教的迫害、気候変動による難民とその排斥、希少な鉱物の争奪、少年兵、企業や国家の競争意識、世界でもっとも民主的な国でさえはびこる政治的腐敗――これらはすべて世界平和をさまたげる要因。
  • 国と宗教・文化の多様性を受け入れよう

 

世界で起きている紛争を遠い世界のできごとと思っていませんか? 同じ地球人として地球のどこかで起きている争いごとに関心をもつこと。日本に住む私たちにできる、世界平和への一歩です。

 

⑤Partnership(パートナーシップ)

5つのめPは『Partnership』、パートナーシップです。世界に多く残された課題に対し、あらゆる人の参加と協力によって解決していくことを目指しています。

「Partnership」には、ゴール17が該当しています。

 

 

ゴール17 「パートナーシップで目標を達成しよう」

ゴール17は、特定の開発課題を取り上げるのではなく、ゴール1から16までを達成するための「実施手段の強化」と「パートナーシップの活性化」を掲げています。そのためターゲットが19項目と全ゴールの中で一番多いのも特徴です。

内訳は7種の実施手段に分けられ、ODAの増額や民間のあらゆる資金動員を目指すもの、あるいは後発途上国への投資促進やICT技術の利用促進といったさまざまな国際支援などがターゲットとなっています。

SDGsは、地球に住むすべての人たちが「より幸せな未来を手に入れる」ため、世界が一丸となってさまざまな問題に取り組むものです。国と国の協力ももちろん大切ですが、もっと広く大勢の人たちがパートナーシップ(協力関係)を持って協力し合うことが必要です。国、企業、地域、学校、家庭の中で協力していくこと。それが世界の目標であるSDGsを実現します

 

💡 このゴールを読み解くポイント

  • 先進国も途上国もパートナーシップの活性化が必要。
  • 国内外における持続可能性の課題に取り組むためのセミナーに参加。
  • 企業や学校、家庭内でも協力しあおう。地域活動などにも積極的に参加。NGO、NPO活動にも関心をもち参加してみよう。

 

家庭、学校、職場、そんな身近なところから周りの人と協力していくことがSDGsへの第一歩なんだね!

 

まとめ:5つのPを理解してSDGs17の目標を達成しよう!

いかがでしたか?

「5つのP」に分類することで、SDGsの目指す世界感が少しイメージしやすくなったのではないでしょうか。

また、17のゴールというと一見難しそうですが、各目標を詳しく見ていくと、意外と私たちの生活に身近なテーマや話題が多く含まれていることにお気づきになったのではないかと思います。

(子どもの貧困問題、働き方改革、異常気象への対応、エネルギー自給率の課題、魚が食べられなくなる……etc)

SDGsの目標を達成するためには国や企業だけでなく、私たちひとりひとりが協力し、年齢や性別関係なく、小さなことでも自分でできることを考え、行動することが大切ではないかと思います。

この記事で「5つのP」という枠組みからSDGsの全体像を捉えることができたなら、ぜひ“自分事”としてSDGsについて考え、行動してみましょう。

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    編集者情報

    株式会社デジタル・ナレッジ
    教育流通事業部 事業部長 中田 康宏
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